ハシモトタクミ(Khaki)とデザイン|前編「アートワークとMV」

Khaki
Khaki(カーキ)は東京を拠点に活動する5人組イマーシブ・アートロックバンド。メンバーは、 中塩博斗(Vo,Gt)、平川直人(Vo,Gt)、下河辺太一(Ba)、 橋本拓己(Dr)、黒羽広樹(Key)。2018年結成、2021年より本格始動。同年に1stアルバム『Janome』を発表した。日本語ロックの情緒と海外インディを思わせるアグレッシブなサウンドが同居した音楽性、さらに淡々としつつも温かいボーカルにより、早耳リスナーから人気。2023年は3月に2ndシングル「Undercurrent」をリリースし、8月13日(日)に初のワンマン公演を東京・新代田FEVERにて開催(ソールド・アウト)。さらに<SUMMER SONIC 2023>に“出れんの!?サマソニ!? 2023”枠での出演が決定。12月には3rdシングル「お祝い/萌芽」をリリースし、2024年5月に自主企画「前期定例」を渋谷WWWにてゆうらん船を迎えて開催(ソールド・アウト)。7月の「後期定例」では渋谷WWW Xにて崎山蒼志を迎えて開催予定。その他数多くのイベントに出演しており勢いを増している。


というのも、Khakiというバンドは音楽が素晴らしいのは勿論なんですが、アートワークやMV、ライブのフライヤーなどのビジュアルデザインもKhakiの大きな魅力だと思っていて。どれも、どこか目を惹きつけるものがあるなと。
それらのデザインを手がけている橋本さんの頭の中を今回のインタビューで少し覗きたいなと思っています。
デザインを始めるきっかけはKhaki
1st EPの「Thirteen」のアートワークでは僕はそこまで噛んではなくて、1st Singleの「車輪」からデザインをやってみた感じですね。
車輪の曲を聴いて自分の中でこういうイメージだなと思って、スマホのアプリでバンっと作りました。


このデザインは何のソフトで作ったんですか?
「え、これ橋本作ったの?すごいじゃん」的な。素直に嬉しかったです。
これ以降はデザインに関してはメンバーからあまり何も言われなくなりました(笑)。
なので、車輪のデザインが本当は1作目なんですが、気持ち的にはJanomeが1作目って感じではあります。
企画、編集、監督すべて橋本さんかと思いますが、これとかももしかして初めてですか?
撮影は友達に撮ってもらって。別にカメラやってるとかでもないので、僕が「こんな感じで撮って」ってお願いしながら進めました。
The GirlのMVのあの手作り感というか空気感が個人的にすごく好きで、要所要所に歌詞ではない字幕が入ってくるところとかも遊び心があってとても面白いなと。
KhakiのMVはメンバーが出ているものが多いと思うのですが、車輪に関してはメンバーさんは出ていないですよね?
当時僕が学芸大学駅近くの居酒屋でアルバイトしていたんですが、ここいいじゃんってなって、近くの人の家の前で撮りました。許可を取って。
ただ、MVの構図、カット割りはかなりこだわっています。自分では気付いていなかったんですが、僕のMVは全体的にカット割りがかなり多いみたいで。
「お祝い/萌芽」のMV撮影を、普段MV監督もやっている須田諒くんにお願いしたんですが、須田くんに「カット多いね」って言われて。どうやら普通の倍くらいあるみたいで、これは編集に時間かかるねって(笑)。なので、1つのMVを作るのに他の人よりも時間がかかっているかと思います。
意識してカットを増やしているわけではないのですが、自分が気持ち良いタイミングでこう入ってきてほしいって進めていくと、すごいカット数になっちゃうっていう(笑)。

シンプルでカッコ良いのが1番好き
まず上の方の「頭痛」を漢字・カタカナ・ひらがなでジグザグに描いているデザインがとても面白くて好きです。

で、このEPを作る前のバンド会議で、ちょっと重ためで暗めの作品にしようというのがあったんで、背景色は黒かなと。
で、頭痛の4曲どれも割と暗いんですけど、どれも似た曲がないのでそれを4色のグラデーションにしていて、それがKhakiという大きな丸の中にはあるっていう。・・・わかりますかね?(笑)
僕はこういう丸の形とかが好きなんですよ、基本的に。で、かつシンプルなのが好きですね。あまりごちゃごちゃしていなくて、シンプルでカッコ良いのが個人的には1番好きです。
あ、あと頭痛なので薬のカプセルをモチーフにしようっていうのが初期の構想にあって、楕円の形になったというのもあります。
このアートワークは自分的に結構気に入っていますね。
僕的にはジャケットも好きですけど、中の歌詞カードが結構お気に入りで。

で、この後Undercurrentの新聞デザインのやつであったり、8cm CDとかに繋がっていくかと思いますが、フィジカルへのこだわりについて聞かせてもらってもよいですか?
8cm CDに関しては、見た目のインパクトと、周りのバンドが出していなかったという点で、いつか出したいとずっと思っていたのですが、Undercurrentに合うなと思い採用しました。



細かい話ですが、これ実物で写真を撮ると、CDの盤面に文字が写っちゃってこんなに綺麗に読めないんですよ。 なので配信とかで使われているジャケットは、クリアケース単体とCDだけで撮った写真に、イラレで文字を入れています。
ただのオマージュにしない
The Girlと車輪の次は「Kajiura」ですかね。KajiuraはKhakiのMVの中で1番再生回数回ってますよね。
僕の中では、このMVが元なんだろうなとか、この映画のこのシーンを持ってきたんだろうなとか、露骨に分かってしまうMVがあまり好きではなくて。 KajiuraのMVも背景に色をつけてとか、The StrokesのMVにもっと寄せることってできると思うんですけど、それをやっちゃうと面白くないなと。 自分なりのオリジナリティや案を足すことで、ただのオマージュにならないようにしています。
ずっとそうですが、僕は作った人のイメージを大切にしたいので、この曲も作った中塩くんに「どんなのが良い?」と聞いて、そしたら「アニメーションが良い」って返ってきて。
多分Radioheadみたいなのを言ってるんだろうなと思って、個人的にまちだりなさんが好きだったので、雰囲気が合いそうだなと思いお願いしました。
僕結構、最近観た映画のこのワンシーンがカッコ良いとかで入れるみたいなことが多くて。 好きなアーティストに影響を受けるみたいなのがよくあると思うんですが、僕の場合、"この人がめっちゃ好き" っていうのがないんですよね。 色んなところから自分が良いなと思ったものをスポンジみたいに吸収している感じ。
それはMVだけでなく、橋本さんのクリエイティブ全般に共通していると。
Khakiって "このバンドっぽい" というのがあまりなくて、それはメンバーみんな個性的で趣味がバラバラなので、それ故、曲ごとに異なる面白みが出ているように思うのですが、MVやアートワークに関しては、橋本さんのそういった多様なアウトプットが作品ごとの個性を出しているのかなと思いました。
これからのKhakiの作品が一層楽しみです。
MVを撮るにあたって色んなホールを調べて、見た目的にもすごくしっくりきたのがこのホールです。
初めは2曲分けて撮ろうと思っていたのですが、ホールのレンタルが10時間借りられるとなって、これで1曲だけ撮るのは勿体ないなと思い、じゃあ2曲続けて撮っちゃおうと。 2曲連続で入っているMVってあまりないから、話題にもなるなって。
あと、最後のエンドロール。他のMVでもエンドロールが入ってるのがあると思うんですが、KhakiのMVって全体的に映画っぽいなと思っていて。
さっきKajiuraのところで、特定のアーティストからの影響はないという話があったと思うんですが、その中でも、さっきのバトルロワイヤルみたいに、橋本さんがどういう作品を観てきて、どういうエッセンスを吸収してきたのかというのを具体的に聞かせてもらえたらなと。
大人が真剣にふざけているのがすごく好き
